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CK上昇の原因・鑑別
■CKの基準値男性:50ー200 女性:40ー170
■CKとはCKとはクレアチニンキナーゼの略でクレアチンリン酸の合成・分解を触媒する酵素である。 クレアチニン+ATP→クレアチンリン酸+ADP この反応を触媒するのがCKであり、クレアチンリン酸の状態にしておくと筋収縮の際のエネルギー源として使える。
CK上昇に対する鑑別診断としては主に以下のものがあげられる ・横紋筋融解症横紋筋細胞が壊死することにより、筋細胞内の成分が血中に流出する。血中のCKが20000IU/Lを越えると急性腎不全のリスクが増大。尿所見ではミオグロビン尿を認める。 ・甲状腺機能低下症甲状腺機能低下症でCKが上昇するのはなぜか。甲状腺の機能が低下すると当然甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる。甲状腺ホルモンというのは端的に言うと全身の代謝を活性化させるというような働きを持つ。甲状腺ホルモンが不足すると体内の様々な物質の代謝がゆっくりになってしまいムコ多糖という物質もうまく代謝されずに皮下に蓄積してしまう。この状態は粘液腺腫とも呼ばれ、いわゆる水膨れ状態である。そしてさらに、ムコ多糖は筋肉組織にも蓄積し、CKやLDHが逸脱するのである。 ・心筋梗塞 心筋が壊死すれば確かにCKは上昇するが特異度は低い。心筋梗塞後3〜8時間で上昇し、10ー24時間で最大となる。3日たつとほぼ陰性になるので、心筋梗塞をおこしてからどのぐらい時間が経過しているかが重要である。CK−MBはCKよりも心筋細胞に特異性が高いのでよく用いられる。 ・皮膚筋炎・多発性筋炎CK上昇での鑑別の一つとしてあげられるが当然ヘリオトロープ疹やゴットロン徴候などの皮膚所見の確認が重要。 ・筋肉の打撲ランニング、外傷、筋肉注射、手術などでもあがりうる。 ■CKの種類 CKには2つのサブユニットがありM(筋型)とB(脳型)に分けられ、MM、MB、BBと3つのタイプが存在する。
骨格筋にはCK−MM心臓にはCKーMMとCKーMB脳にはCKーBB が存在する。 横紋筋融解症や皮膚筋炎・多発性筋炎、甲状腺機能低下症、筋ジストロフィーなどでは骨格筋の組織障害が起こりCKーMMが上昇する。 一方、心筋梗塞では心臓の筋組織が破壊されるのでCK−MMとCK−MBが上昇する。大脳にはCKーBBが豊富に含まれているが、血液脳関門のため、神経疾患でもCK−BBはほとんど上昇しない。(上記のサブタイプ以外にもミトコンドリアCKというものもあるが、強度の細胞破壊がなければ血液中には逸脱しない。) ・無症状でCK高値の場合スタチンなどの薬剤性、甲状腺機能低下症などを考える。ほかにも打撲や筋肉注射、過度の運動などの可能性もある。たとえばマラソン後などでは正常の100倍以上になることもある。もしも筋肉の痛みを伴っていたらスタチンなどの薬剤性を考える。 |
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