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こんにちは、ウチダです。 今日は数学Ⅰ「図形と計量」で習う、非常に重要な 「正弦定理」 について、まずは公式の覚え方から入り、次に正弦定理を用いる問題の解き方や、正弦定理と余弦定理の使い分けを、わかりやすく解説していきます。 公式の証明ももちろん重要ですが、正弦定理と余弦定理は一種の計算道具だと考え、使いこなすことを第一に考えていきましょう。 スポンサーリンク 目次正弦定理とはさっそく正弦定理のご紹介です。 【正弦定理】△ABC の外接円の半径を $R$ とする。このとき、$$\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}=\frac{c}{\sin C}=2R$$が成り立つ。正弦というのは $\sin$ の日本語表記でしたね。 つまり「 sin を用いた重要な公式 = 正弦定理」となります。 ⇒参考.「三角比の正弦余弦正接ってどういう意味?サインコサインタンジェントに簡単に結び付けられる覚え方のコツとは?」 また、この定理は式で覚えるのではなく、以下のように図で覚えるのをオススメします。 ↓↓↓ ![]() 「使う角度と辺はお互い向かい合っている」ということになりますね! また、三角形に必ず外接円(外側に接している円)が存在する理由は、数学A「図形の性質」で“外心”を習うときに学びます。 ⇒参考.「外心とは?三角形の外心の座標・位置ベクトルの求め方や性質の証明をわかりやすく解説!【垂心】」 まずはこの公式を覚えてください、という流れになるのですが… この公式の覚えづらいところとして、 $2R$ の $2$ って何?分母と分子、どっちがどっちだっけ…以上 $2$ 点があります。 実際僕も高校生の時、特に↓の「分母と分子がごっちゃになる」ことがよくありました。 この記事ではまず、この $2$ つの問題点をスッキリ解消していきます! 正弦定理の公式の覚え方【重要】何か新しい公式を覚えなくてはならないときのポイント、それは… 特殊なケースを考える これに尽きるかと思います。 正弦定理を覚える上でオススメなケース。それは「直角三角形」です。 ↓↓↓ ![]() 中学3年生で習う”円周角の定理”より、「円周角は中心角の半分」ですから、直径に対する円周角は直角になります。 ≫参考記事:円周角の定理とは?【必ず押さえたい7つのポイント】 これを、例えば有名な直角三角形を当てはめて考えていきます。 ↓↓↓ ![]() $2R$ はすなわち直径の長さです。 また、$\sin 90°=1$ でしたね。 ⇒参考.「三角比の表の値(sincostan)の覚え方を解説!【単位円でマイナスも定義】」 この $2$ つの事実を利用すれば、$$\frac{\sin 90°}{5}=\frac{1}{5}≠2R$$ですから、$$\frac{5}{\sin 90°}=5=2R$$が正しいことがわかります。 これで分母と分子がごっちゃになる問題も解決できました。 スポンサーリンクまた、今、$3:4:5$ の直角三角形を例に挙げましたが、一般の直角三角形で同様の議論を行えば、$$θ=90°$$での正弦定理の証明になります。 正弦定理の基本問題の解き方それでは実際に、正弦定理を利用した問題を解いてみましょう。 問題. それぞれの △ABC において、$a$ の長さを求めよ。(1) $b=6$、$A=45°$、$B=60°$(2) $b=\sqrt{6}$、$B=45°$、$C=15°$(3) $b=2$、$A=30°$、$C=60°$どの問題にも共通するのが「角度が $2$ つ与えられている」部分です。 これは後に解説する「正弦定理と余弦定理の使い分け」において非常に重要な着眼点となってきますので、楽しみにしていてください^^ では解答です。 【解答】 (1) まずは図を書く。 ![]() △ABC に正弦定理を用いると、$$\frac{a}{\sin 45°}=\frac{6}{\sin 60°}$$ よって、 \begin{align}a&=6×\frac{1}{\sin 60°}×\sin 45°\\&=6×\frac{2}{\sqrt{3}}×\frac{1}{\sqrt{2}}\\&=\sqrt{6}×2\\&=2\sqrt{6}\end{align}(2) まずは図を書く。 ![]() 三角形の内角の和は $180°$ より、$$A=180°-(45°+15°)=120°$$と求めることができる。 ここで、△ABC に正弦定理を用いると、$$\frac{a}{\sin 120°}=\frac{\sqrt{6}}{\sin 45°}$$ よって、 \begin{align}a&=\sqrt{6}×\frac{1}{\sin 45°}×\sin 120°\\&=\sqrt{6}×\sqrt{2}×\frac{\sqrt{3}}{2}\\&=6×\frac{1}{2}\\&=3\end{align}(3) まずは図を書く。 ![]() 三角形の内角の和は $180°$ より、$$B=180°-(30°+60°)=90°$$と求めることができる。 ここで、$\sin$ の定義より、 \begin{align}a&=2×\sin 30°\\&=2×\frac{1}{2}\\&=1\end{align}(解答終了) (2)、(3)を解いてみてお分かりだと思いますが、どんな三角形でも内角の和は $180°$ と決まっているので、内角が $2$ つ与えられれば、すべての内角がわかります。 あとは図をしっかり書きましょう。 (1)、(2)の計算の注意点として、$\frac{1}{三角比}$ の値は逆数で考えると良いです。 (1)では $\sin 60°=\frac{\sqrt{3}}{2}$ より$$\frac{1}{\sin 60°}=\frac{2}{\sqrt{3}}$$ (2)では $\sin 45°=\frac{1}{\sqrt{2}}$ より$$\frac{1}{\sin 45°}=\frac{\sqrt{2}}{1}=\sqrt{2}$$ として計算してます。 (3)については、正弦定理を使ってもいいのですが、△ABC が直角三角形になるので、三角比の定義をそのまま使った方が速いです。 スポンサーリンクこの問題が、正弦定理を利用する問題で一番の基本となります。 他には、「 $1$ 辺が $3$ である正三角形の外接円の半径を求めよ。」などの“外接円の半径”を聞いてくる問題もありますが、解き方はほぼ同じです。 正弦定理を用いて、$$2R=\frac{3}{\sin 60°}$$と立式し、あとは両辺を $2$ で割って $R$ を求めてあげてください。 正弦定理の公式の証明正弦定理の基本的な使い方は理解できましたか? ここで、一度正弦定理を証明しておきたいと思います。 正弦定理は、公式の形や使う頻度が高いことから、そこまで忘れやすいものではありません。 しかし、「定理を一度しっかりと自分の手で証明する」という作業は、数学において最も大切な勉強の一つと言えるでしょう。 ぜひ、“試験に出る or 出ない”の見方は捨てて、“これはなぜ成り立つのだろう…”と考え、数学という学問を純粋に楽しんでいただきたいな、と思います♪ 角Aが鋭角の場合の証明角 A についてのみ示していきます。 つまり、$$\frac{a}{\sin A}=2R$$さえ示すことができればOKです。 なぜなら、角 B、角 C に対しても$$\frac{b}{\sin B}=2R , \frac{c}{\sin C}=2R$$を同様の手順で示せばよいからです。 さて、証明の方針として、 角 A が鋭角のとき角 A が直角のとき角 A が鈍角のときこの $3$ つに場合分けします。 場合分けする理由は、それぞれの場合で用いる性質が微妙に違うからです。 それでは早速、鋭角の場合から見ていきましょう。 【角 A が鋭角の場合の証明】 ![]() 点 D を円周上で、BD=直径となるように取る。 すると、円周角の定理より、$$∠BAC=∠BDC$$ さらに、BD は直径であるので、$$∠C=90°$$ 以上より、△BCD に対して正弦の定義式を用いると、 \begin{align}a&=2R×\sin ∠BDC\\&=2R×\sin ∠BAC\end{align}したがって、$$\frac{a}{\sin A}=2R$$が示せた。 (証明終了) スポンサーリンク特別用いている円の性質は「円周角の定理」のみです! あとは△BCD が直角三角形になることから、式を導いてあげましょう。 さて、角 A が直角の場合については、目次1.1「正弦定理の公式の覚え方【重要】」で確認しました。 よって、 $3$ つ目の場合。角 A が鈍角の場合について考えていきましょう。 角Aが鈍角の場合の証明鈍角の場合は、使う知識が $2$ つ(厳密には $1$ つ)増えます。 「どんな知識が必要となってくるのか」ぜひ予想しながらご覧ください♪ 【角 A が鈍角の場合の証明】 ![]() 点 D を円周上で、BD=直径となるように取る。 すると、円に内接する四角形の性質より、$$∠BAC+∠BDC=180°$$ よって、$$∠BDC=180°-∠BAC$$ さらに、BD は直径であるので、$$∠C=90°$$ 以上より、△BCD に対して正弦の定義式を用いると、 \begin{align}a&=2R×\sin ∠BDC\\&=2R×\sin (180°-∠BAC)\\&=2R×\sin ∠BAC\end{align}したがって、$$\frac{a}{\sin A}=2R$$が示せた。 (証明終了) 鋭角の場合に加えて、この証明では「円に内接する四角形の性質」を用いています。 さらに、$$\sin (180°-θ)=\sin θ$$であることを利用して、結論の式を導き出しています。 他は基本的に同じです。”厳密には一つ”と説明しました。これは「円に内接する四角形の性質」は円周角の定理から導くことができるので、実質「円周角の定理」と言えるからです。詳しくは以下の記事をご参照ください。 ⇒参考(円の方).(後日書きます。) ⇒参考(sin の方).「三角比の表の値(sincostan)の覚え方を解説!【単位円でマイナスも定義】」 こうして証明をしっかりやってみると、「正弦定理は円周角の定理のもとに成り立っているんだ…」のような気付きが得られると思います。 こういう気づきがとても重要で、例えば円が絡む問題を一目見たときに、正弦定理が頭の中に思い浮かぶようになります。 人間の脳は、想像以上に単純でかつ頭(要領)がいいのです。 スポンサーリンクそれでは最後に、余弦定理との使い分けについて考えていきましょう。 正弦定理と余弦定理の使い分け【超重要】まずは余弦定理の簡単な紹介です。 【余弦定理】△ABC に対して、$$a^2=b^2+c^2-2bc\cos A$$が成り立つ。余弦定理についても、式ではなく図で覚えることをオススメします。 ↓↓↓ ![]() さて、余弦定理についての詳しい解説は、この記事の最後にリンクを貼っておきますので、そちらをご参照ください。 ここでは、「正弦定理と余弦定理…どっちを使えばいいの?」という、よくある疑問にお答えしたいと思います。 まず、正弦定理と余弦定理の違いを考えてみましょう。 いきなり答えを発表してしまうので、考えたい方はここで一度立ち止まってみましょう。 ↓↓↓ 大きく違うところは… 正弦定理:角度の情報 $2$ つ、辺の情報 $2$ つ余弦定理:角度の情報 $1$ つ、辺の情報 $3$ つここですね!※今回外接円の半径を用いた式は無視しています。 さて、もう一つ考えるべきことがあります。 それは「そもそも三角形って、どうやって一つに決まるの…?」ということです。 これも今まで習ってきた知識の中に答えがあります。 よく考えてみてから、下の答えをご覧ください。 ↓↓↓ 中学2年生で“三角形の合同条件”について習いましたね! 三角形の合同条件を軽くおさらいしておくと… ①: $3$ 組の辺がそれぞれ等しい(角度: $0$ 個、辺: $3$ 個)②: $2$ 組の辺とその間の角がそれぞれ等しい(角度: $1$ 個、辺: $2$ 個)③: $1$ 組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい(角度: $2$ 個、辺: $1$ 個)でしたね! 詳しくは参考記事をご覧ください。 ⇒参考.「三角形の合同条件はなぜ3つ?証明問題をわかりやすく解説!【相似条件との違い】」 さて、今( )として記した部分に着目します。 これは「それぞれの合同条件における必要な情報量」を表しています。 つまり、厳密性を無視して簡単にまとめるとするならば、「角度と辺の情報が合わせて $3$ つ与えられれば三角形は一つに決まる!」となります。 “合同条件”という意味は、”一つに決まる”という意味と等しいですもんね。 ここで、正弦定理・余弦定理に戻ってみましょう。 よく見てみると、ぞれぞれ「角度と辺の情報が合わせて $4$ つ」与えられています。 すなわち、正弦定理・余弦定理というのは、三角形の情報が $3$ つ与えられたとき、$4$ つ目(、そして $5$ つ目、$6$ つ目)を求める手段だと考えることができます! スポンサーリンク以上の話をまとめます。 【三角形の合同条件と正弦・余弦定理】③、④…正弦定理を用いて $4$ つ目を求める①、②…余弦定理を用いて $4$ つ目を求める※①~③については「三角形の合同条件」です。④については後述します。 ④というのは、三角形の合同条件ではありません。 図で説明したほうがわかりやすいでしょう。 ↓↓↓ ![]() 合同条件②の注意点として「その間の角だからな~」って、先生がよく言ってませんでしたか? その理由が、やっとここでわかります。 この図で正弦定理を用いると、$$\frac{a}{\sin A}=\frac{b}{\sin B}$$ となるので、$$a\sin B=b\sin A$$ よって、$$\sin B=\frac{b}{a}\sin A$$というふうに角 B を求めることができます。 しかし!ここで重要なのが、sin と cos の性質の違いです。 三角形の角度は $0°$~$180°$まであるので、$\sin$ は一つに決まりません! たとえば$$\sin 60°=\sin 120°=\frac{\sqrt{3}}{2}$$が成り立ちますもんね。 それに対して、$\cos$ は一つに決まります。 たとえば$$\cos 120°=-\cos 60°=-\frac{1}{2}$$と正負が逆になりましたね。 つまり、鋭角の場合と鈍角の場合の $2$ 通りが存在するので、三角形が $2$ 種類できてしまうから、合同条件にはなり得ない、ということがわかりました。 長年の疑問が解決して、スゴイすっきりしたのではないでしょうか? また、これで直角三角形の合同条件についても理解が深まりました! 一つの角度が直角(=90°)であれば、他の角度が鈍角である可能性はなくなりますからね^^ 正弦定理と余弦定理の使い分けについて、一生懸命考えてみたら、三角形の合同条件の理解が深まってしまいました。 こういうところが数学の面白いところです。 余弦定理の記事はこちらから!!この記事では、正弦定理の基本的な使い方から公式の覚え方、また余弦定理との使い分けを三角形の合同条件に絡めて解説してきました。 ここで登場した“余弦定理”も非常に重要な公式ですので、ぜひ記事を読んでいただきたく思います。 また、余弦定理の記事では、正弦定理のもっといろんな応用例についても考えていきたいと思います^^ 余弦定理に関する記事はこちらから!! ↓↓↓ 関連記事余弦定理の証明とは?角度・面積を求める計算問題や公式の覚え方をわかりやすく解説! あわせて読みたい![]() 以上、ウチダでした。それでは皆さん、よい数学Lifeを!! |
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