『飲中八仙歌』杜甫 【原文・書き下し文・現代語訳・解説】 |
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賀が知章ちしょう(政府高官)が酔っぱらって馬に乗る様子はまるで船に乗っているかのようでゆらゆら揺れている。 目がちらついて井戸に落ち水中で眠っている。 汝じょ陽よう(汝陽郡の王)は朝から三斗(1斗は今の1升、約2リットル)の酒を飲んでから朝廷に参内する。 参内の途中、麹こうじ(酒の原料)の匂いを嗅ぐと口からよだれを流す。 甘粛にある酒泉郡に封じてもらえないのが残念だ、と言う。 左相さしょう(政府高官)は毎日散財して楽しくやっている。 その飲みっぷりと言ったらクジラが百の川を飲み込むかのようだ。 杯を口にして清酒を愛し濁り酒は避けると言う。 宗之そうしは水のしたたる美青年。 酒を飲むと杯を挙げてにらむように天を見上げる。 その清らなさまは玉ぎょくで作った木が風の前で揺れているかのよう。 蘇晋そしんはよく刺しゅうされた仏像画の前で修行をしている。 酔っぱらうとよく座禅をやるふりをする。 李白は一斗の酒を飲むと詩が百篇生まれる。 長安で宮仕えをしていた時町の酒場で眠り込んでいた。 天子が呼びに来ても天子の乗る船に乗ろうとはしない。 そして自分は酒の中の仙人だから水の中には入っていかないと言う。 張ちょう旭きょく(書家)は三杯酒を飲むと筆を執りさらさらと草書を書いてその作品が世に伝わる。 王侯貴族の前でかぶり物を取って平気で頭をさらす。 いったん筆を執り紙に落とすと雲やもやのような優れた草書の作品ができあがる。 焦しょう遂すいは五斗の酒を飲むとやっと背筋が伸びる。 そのあと始まる雄弁ぶりは周りを驚かす。 |
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