万叶集 十三卷 古日语原文 1

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万叶集 十三卷 古日语原文 1

2024-07-13 11:02:38| 来源: 网络整理| 查看: 265

第十三巻雜歌3221

[題詞]雜歌

[原文]冬成 春去来者 朝尓波 白露置 夕尓波 霞多奈妣久 汗瑞能振 樹奴礼我之多尓 鴬鳴母

[訓読]冬こもり 春さり来れば 朝には 白露置き 夕には 霞たなびく 汗瑞能振 木末が下に 鴬鳴くも

[仮名],ふゆこもり,はるさりくれば,あしたには,しらつゆおき,ゆふへには,かすみたなびく,,****,こぬれがしたに,うぐひすなくも

[左注]右一首

不  木 [元][天][類]

国見歌,春

3222

[題詞]

[原文]三諸者 人之守山 本邊者 馬酔木花開 末邊方 椿花開 浦妙 山曽 泣兒守山

[訓読]みもろは 人の守る山 本辺は 馬酔木花咲き 末辺は 椿花咲く うらぐはし 山ぞ 泣く子守る山

[仮名],みもろは,ひとのもるやま,もとへは,あしびはなさき,すゑへは,つばきはなさく,うらぐはし,やまぞ,なくこもるやま

[左注]右一首

,神山,三輪山,明日香,地名

3223

[題詞]

[原文]霹靂之 日香天之 九月乃 礼乃落者 鴈音文 未来鳴 甘南備乃 清三田屋乃 垣津田乃 池之堤 百不足 槻枝丹 水枝指 秋赤葉 真割持 小鈴由良尓 手弱女尓 吾者有友 引攀而 峯文十遠仁 に手折 吾者持而徃 公之頭刺荷

[訓読]かむとけの 日香空の 九月の しぐれの降れば 雁がねも いまだ来鳴かぬ 神なびの 清き御田屋の 垣つ田の 池の堤の 百足らず 斎槻の枝に 瑞枝さす 秋の黄葉 まき持てる 小鈴もゆらに 手弱女に 我れはあれども 引き攀ぢて 枝もとををに ふさ手折り 我は持ちて行く 君がかざしに

[仮名],かむとけの,**そらの,ながつきの,しぐれのふれば,かりがねも,いまだきなかぬ,かむなびの,きよきみたやの,かきつたの,いけのつつみの,ももたらず,いつきのえだに,みづえさす,あきのもみちば,まきもてる,をすずもゆらに,たわやめに,われはあれども,ひきよぢて,えだもとををに,ふさたをり,わはもちてゆく,きみがかざしに

[左注](右二首)

[天][類][紀] /   之 [西(左書)][元][天][類] / く  五十 [万葉考] / 父  文 [元][天][紀]

神祭り,寿歌,秋,植物,宴席,三輪山,地名

3224

[題詞]反歌

[原文]獨耳 見者戀染 神名火乃 山黄葉 手折来君

[訓読]ひとりのみ見れば恋しみ神なびの山の黄葉手折り来り君

[仮名],ひとりのみ,みればこほしみ,かむなびの,やまのもみちば,たをりけりきみ

[左注]右二首

宴席,三輪山,地名

3225

[題詞]

[原文]天雲之 影所見 隠来 長谷之河者 浦無蚊 船之依不来 礒無蚊 海部之釣不為 吉咲八師 浦者無友 吉畫矢寺 礒者無友 奥津浪 諍榜入来 白水郎之釣船

[訓読]天雲の 影さへ見ゆる こもりくの 泊瀬の川は 浦なみか 舟の寄り来ぬ 礒なみか 海人の釣せぬ よしゑやし 浦はなくとも よしゑやし 礒はなくとも 沖つ波 競ひ漕入り来 海人の釣舟

[仮名],あまくもの,かげさへみゆる,こもりくの,はつせのかはは,うらなみか,ふねのよりこぬ,いそなみか,あまのつりせぬ,よしゑやし,うらはなくとも,よしゑやし,いそはなくとも,おきつなみ,きほひこぎりこ,あまのつりぶね

[左注](右二首)

[元][天] / 笑  矣 [西(訂正)][元][天][類] / 諍 [古][類][天] 淨

桜井,奈良,寿歌,土地讃美

3226

[題詞]反歌

[原文]沙邪礼浪 浮而流 長谷河 可依礒之 無蚊不怜也

[訓読]さざれ波浮きて流るる泊瀬川寄るべき礒のなきが寂しさ

[仮名],さざれなみ,うきてながるる,はつせがは,よるべきいその,なきがさぶしさ

[左注]右二首

桜井,土地讃美,寿歌

3227

[題詞]

[原文]葦原笶 水穂之國丹 手向為跡 天降座兼 五百万 千万神之 神代従 云續来在 甘南備乃 三諸山者 春去者 春霞立 秋徃者 紅丹穂經 甞備乃 三諸乃神之 帶為 明日香之河之 水尾速 生多米難 石枕 蘿生左右二 新夜乃 好去通牟 事計 夢尓令見社 劔刀 齊祭 神二師座者

[訓読]葦原の 瑞穂の国に 手向けすと 天降りましけむ 五百万 千万神の 神代より 言ひ継ぎ来る 神なびの みもろの山は 春されば 春霞立つ 秋行けば 紅にほふ 神なびの みもろの神の 帯ばせる 明日香の川の 水脈早み 生しためかたき 石枕 苔生すまでに 新夜の 幸く通はむ 事計り 夢に見せこそ 剣太刀 斎ひ祭れる 神にしませば

[仮名],あしはらの,みづほのくにに,たむけすと,あもりましけむ,いほよろづ,ちよろづかみの,かむよより,いひつぎきたる,かむなびの,みもろのやまは,はるされば,はるかすみたつ,あきゆけば,くれなゐにほふ,かむなびの,みもろのかみの,おばせる,あすかのかはの,みをはやみ,むしためかたき,いしまくら,こけむすまでに,あらたよの,さきくかよはむ,ことはかり,いめにみせこそ,つるぎたち,いはひまつれる,かみにしませば

[左注](右三首 但或書此短歌一首無有載之也)

[西(訂正)][天][紀][細]

明日香,奈良,寿歌,神祭り,賀歌,新婚,永遠,婚礼

3228

[題詞]反歌

[原文]神名備能 三諸之山丹 隠蔵杉 思将過哉 蘿生左右

[訓読]神なびの三諸の山に斎ふ杉思ひ過ぎめや苔生すまでに

[仮名],かむなびの,みもろのやまに,いはふすぎ,おもひすぎめや,こけむすまでに

[左注](右三首 但或書此短歌一首無有載之也)

,奈良,寿歌,賀歌,新婚,永遠,婚礼

3229

[題詞](反歌)

[原文]五十串立 神酒座奉 神主部之 雲聚蔭 見者乏文

[訓読]斎串立てみわ据ゑ奉る祝部がうずの玉かげ見ればともしも

[仮名],いぐしたて,みわすゑまつる,はふりへが,うずのたまかげ,みればともしも

[左注]右三首 但或書此短歌一首無有載之也

[元][天][類]

,寿歌,新婚

3230

[題詞]

[原文]帛S 楢従出而 水蓼 穂積至 鳥網張 坂手乎過 石走 甘南備山丹 朝宮 仕奉而 吉野部登 入座見者 古所念

[訓読]みてぐらを 奈良より出でて 水蓼 穂積に至り 鳥網張る 坂手を過ぎ 石走る 神なび山に 朝宮に 仕へ奉りて 吉野へと 入ります見れば いにしへ思ほゆ

[仮名],みてぐらを,ならよりいでて,みづたで,ほづみにいたり,となみはる,さかてをすぎ,いはばしる,かむなびやまに,あさみやに,つかへまつりて,よしのへと,いりますみれば,いにしへおもほゆ

[左注](右二首)

,地名,明日香,吉野,奈良,聖武天皇

3231

[題詞]反歌

[原文]月日 攝友 久經流 三諸之山 礪津宮地

[訓読]月は日は変らひぬとも久に経る三諸の山の離宮ところ

[仮名],つきひは,かはらひぬとも,ひさにふる,みもろのやまの,とつみやところ

[左注]右二首 但或本歌曰 故王都跡津宮地也

,奈良,聖武天皇,宮廷讃美,寿歌

3231S

[題詞](反歌)右二首 但或本歌曰

[原文]故王都跡津宮地

[訓読]古き都の離宮ところ

[仮名]ふるきみやこの,とつみやところ

[左注]也

,宮廷讃美,聖武天皇,寿歌

3232

[題詞]

[原文]斧取而 丹生桧山 木折来而 筏尓作 二梶貫 礒榜廻乍 嶋傳 雖見不飽 三吉野乃 瀧動々 落白浪

[訓読]斧取りて 丹生の桧山の 木伐り来て 筏に作り 真楫貫き 礒漕ぎ廻つつ 島伝ひ 見れども飽かず み吉野の 瀧もとどろに 落つる白波

[仮名],をのとりて,にふのひやまの,きこりきて,いかだにつくり,まかぢぬき,いそこぎみつつ,しまづたひ,みれどもあかず,みよしのの,たきもとどろに,おつるしらなみ

[左注](右二首)

奈良,川讃美,

3233

[題詞]反歌

[原文]三芳野 瀧動々 落白浪 留西 妹見巻 欲白浪

[訓読]み吉野の瀧もとどろに落つる白波留まりにし妹に見せまく欲しき白波

[仮名],みよしのの,たきもとどろに,おつるしらなみ,とまりにし,いもにみせまく,ほしきしらなみ

[左注]右二首

; 西 [天][類]

奈良,旋頭歌,土地讃美,望郷

3234

[題詞]

[原文]八隅知之 和期大皇 高照 日之皇子之 聞食 御食都國 神風之 伊勢乃國者 國見者之毛 山見者 高貴之 河見者 左夜氣久清之 水門成 海毛廣之 見渡 嶋名高之 己許乎志毛 間細美香母 巻毛 文尓恐 山邊乃 五十師乃原 尓内日刺 大宮都可倍 朝日奈須 目細毛 暮日奈須 浦細毛 春山之 四名比盛而 秋山之 色名付思吉 百礒城之 大宮人者 天地 与日月共 万代尓母我

[訓読]やすみしし 我ご大君 高照らす 日の御子の きこしをす 御食つ国 神風の 伊勢の国は 国見ればしも 山見れば 高く貴し 川見れば さやけく清し 水門なす 海もゆたけし 見わたす 島も名高し ここをしも まぐはしみかも かけまくも あやに畏き 山辺の 五十師の原に うちひさす 大宮仕へ 朝日なす まぐはしも 夕日なす うらぐはしも 春山の しなひ栄えて 秋山の 色なつかしき ももしきの 大宮人は 天地 日月とともに 万代にもが

[仮名],やすみしし,わごおほきみ,たかてらす,ひのみこの,きこしをす,みけつくに,かむかぜの,いせのくには,くにみればしも,やまみれば,たかくたふとし,かはみれば,さやけくきよし,みなとなす,うみもゆたけし,みわたす,しまもなたかし,ここをしも,まぐはしみかも,かけまくも,あやにかしこき,やまのへの,いしのはらに,うちひさす,おほみやつかへ,あさひなす,まぐはしも,ゆふひなす,うらぐはしも,はるやまの,しなひさかえて,あきやまの,いろなつかしき,ももしきの,おほみやひとは,あめつち,ひつきとともに,よろづよにもが

[左注](右二首)

[西(訂正貼紙)][元][天][類]

三重県,枕詞,行幸従駕,宮廷讃美,土地讃美

3235

[題詞]反歌

[原文]山邊乃 五十師乃御井者 自然 成錦乎 張流山可母

[訓読]山辺の五十師の御井はおのづから成れる錦を張れる山かも

[仮名],やまのへの,いしのみゐは,おのづから,なれるにしきを,はれるやまかも

[左注]右二首

三重県,井戸,土地讃美,行幸従駕

3236

[題詞]

[原文]空見津 倭國 青丹吉 常山越而 山代之 管木之原 血速舊 于遅乃渡 瀧屋之 阿後尼之原尾 千歳尓 闕事無 万歳尓 有通将得 山科之 石田之社之 須馬神尓 奴左取向而 吾者越徃 相坂山遠

[訓読]そらみつ 大和の国 あをによし 奈良山越えて 山背の 管木の原 ちはやぶる 宇治の渡り 瀧つ屋の 阿後尼の原を 千年に 欠くることなく 万代に あり通はむと 山科の 石田の杜の すめ神に 幣取り向けて 我れは越え行く 逢坂山を

[仮名],そらみつ,やまとのくに,あをによし,ならやまこえて,やましろの,つつきのはら,ちはやぶる,うぢのわたり,たぎつやの,あごねのはらを,ちとせに,かくることなく,よろづよに,ありがよはむと,やましなの,いはたのもりの,すめかみに,ぬさとりむけて,われはこえゆく,あふさかやまを

[左注](右三首)

,地名,奈良,京都,羈旅,土地讃美,安全祈願

3237

[題詞]或本歌曰

[原文]緑丹吉 平山過而 物部之 氏川渡 未通女等尓 相坂山丹 手向草 絲取置而 我妹子尓 相海之海之 奥浪 来因濱邊乎 久礼々々登 獨我来 妹之目乎欲

[訓読]あをによし 奈良山過ぎて もののふの 宇治川渡り 娘子らに 逢坂山に 手向け草 幣取り置きて 我妹子に 近江の海の 沖つ波 来寄る浜辺を くれくれと ひとりぞ我が来る 妹が目を欲り

[仮名],あをによし,ならやますぎて,もののふの,うぢかはわたり,をとめらに,あふさかやまに,たむけくさ,ぬさとりおきて,わぎもこに,あふみのうみの,おきつなみ,きよるはまへを,くれくれと,ひとりぞわがくる,いもがめをほり

[左注](右三首)

塙) 青 / 雷  曽 [元][天][紀]

地名,奈良,京都,羈旅,滋賀,琵琶湖,望郷

3238

[題詞]反歌

[原文]相坂乎 打出而見者 淡海之海 白木綿花尓 浪立渡

[訓読]逢坂をうち出でて見れば近江の海白木綿花に波立ちわたる

[仮名],あふさかを,うちいでてみれば,あふみのうみ,しらゆふばなに,なみたちわたる

[左注]右三首

琵琶湖,地名,羈旅,土地讃美,叙景

3239

[題詞]

[原文]近江之海 泊八十有 八十嶋之 嶋之埼邪伎 安利立有 花橘乎 末枝尓 毛知引懸 仲枝尓 伊加流我懸 下枝尓 米乎懸 己之母乎 取久乎不知 己之父乎 取久乎思良尓 伊蘇婆比座与 伊可流我等米登

[訓読]近江の海 泊り八十あり 八十島の 島の崎々 あり立てる 花橘を ほつ枝に もち引き懸け 中つ枝に 斑鳩懸け 下枝に 比米を懸け 汝が母を 取らくを知らに 汝が父を 取らくを知らに いそばひ居るよ 斑鳩と比米と

[仮名],あふみのうみ,とまりやそあり,やそしまの,しまのさきざき,ありたてる,はなたちばなを,ほつえに,もちひきかけ,なかつえに,いかるがかけ,しづえに,ひめをかけ,ながははを,とらくをしらに,ながちちを,とらくをしらに,いそばひをるよ,いかるがとひめと

[左注]右一首

[元][天][細] / 此  比 [元][天][細]

琵琶湖,動物,童謡,風喩,風俗,民謡

3240

[題詞]

[原文]王 命恐 雖見不飽 楢山越而 真木積 泉河乃 速瀬 刺渡 千速振 氏渡乃 多企都瀬乎 見乍渡而 近江道乃 相坂山丹 手向為 吾越徃者 樂浪乃 志我能韓埼 幸有者 又反見 道前 八十阿毎 嗟乍 吾過徃者 弥遠丹 里離来奴 弥高二 山越来奴 劔刀 鞘従拔出而 伊香胡山 如何吾将為 徃邊不知而

[訓読]大君の 命畏み 見れど飽かぬ 奈良山越えて 真木積む 泉の川の 早き瀬を 棹さし渡り ちはやぶる 宇治の渡りの たきつ瀬を 見つつ渡りて 近江道の 逢坂山に 手向けして 我が越え行けば 楽浪の 志賀の唐崎 幸くあらば またかへり見む 道の隈 八十隈ごとに 嘆きつつ 我が過ぎ行けば いや遠に 里離り来ぬ いや高に 山も越え来ぬ 剣太刀 鞘ゆ抜き出でて 伊香胡山 いかにか我がせむ ゆくへ知らずて

[仮名],おほきみの,みことかしこみ,みれどあかぬ,ならやまこえて,まきつむ,いづみのかはの,はやきせを,さをさしわたり,ちはやぶる,うぢのわたりの,たきつせを,みつつわたりて,あふみぢの,あふさかやまに,たむけして,わがこえゆけば,ささなみの,しがのからさき,さきくあらば,またかへりみむ,みちのくま,やそくまごとに,なげきつつ,わがすぎゆけば,いやとほに,さとさかりきぬ,いやたかに,やまもこえきぬ,つるぎたち,さやゆぬきいでて,いかごやま,いかにかわがせむ,ゆくへしらずて

[左注](右二首)

[元][天][紀] / 父  文 [西(訂正)][元][天][細]

道行き,奈良,京都,滋賀,序詞,羈旅,旅愁

3241

[題詞]反歌

[原文]天地乎 乞祷 幸有者 又見 思我能韓埼

[訓読]天地を嘆き祈ひ祷み幸くあらばまたかへり見む志賀の唐崎

[仮名],あめつちを,なげきこひのみ,さきくあらば,またかへりみむ,しがのからさき

[左注]右二首 但此短歌者 或書云穂積朝臣老配於佐渡之時作歌者也

[万葉考] /   反 [西(右書)][元][天][類] / 者 [西(朱書消去)]

羈旅,手向け,穂積老,

3242

[題詞]

[原文]百岐年 三野之國之 高北之 八十一隣之宮尓 日向尓 行靡闕矣 有登聞而 吾通之 奥十山 野之山 得 人雖跡 如此依等 人雖衝 無意山之 奥礒山 三野之山

[訓読]ももきね 美濃の国の 高北の くくりの宮に 日向ひに 行靡闕矣 ありと聞きて 我が行く道の 奥十山 美濃の山 靡けと 人は踏めども かく寄れと 人は突けども 心なき山の 奥十山 美濃の山

[仮名],ももきね,みののくにの,たかきたの,くくりのみやに,ひむかひに,*******,ありとききて,わがゆくみちの,おきそやま,みののやま,なびけと,ひとはふめども,かくよれと,ひとはつけども,こころなきやまの,おきそやま,みののやま

[左注]右一首

硺機][元][天][紀] /   三 [西(右書)][元][天][紀] / 靡 [西(上書訂正)][元][天][紀]

岐阜,羈旅,旅愁,難訓,景行天皇

3243

[題詞]

[原文]處女等之 笥垂有 續麻成 長門之浦丹 朝奈祇尓 満来塩之 夕奈祇尓 依来波乃 塩乃 伊夜益舛二 彼浪乃 伊夜敷布二 吾妹子尓 戀乍来者 阿胡乃海之 荒礒之於丹 濱菜採 海部處女等 纓有 領巾文光蟹 手二巻流 玉毛湯良羅尓 白栲乃 袖振所見津 相思羅霜

[訓読]娘子らが 麻笥に垂れたる 続麻なす 長門の浦に 朝なぎに 満ち来る潮の 夕なぎに 寄せ来る波の その潮の いやますますに その波の いやしくしくに 我妹子に 恋ひつつ来れば 阿胡の海の 荒礒の上に 浜菜摘む 海人娘子らが うながせる 領布も照るがに 手に巻ける 玉もゆららに 白栲の 袖振る見えつ 相思ふらしも

[仮名],をとめらが,をけにたれたる,うみをなす,ながとのうらに,あさなぎに,みちくるしほの,ゆふなぎに,よせくるなみの,そのしほの,いやますますに,そのなみの,いやしくしくに,わぎもこに,こひつつくれば,あごのうみの,ありそのうへに,はまなつむ,あまをとめらが,うなげる,ひれもてるがに,てにまける,たまもゆららに,しろたへの,そでふるみえつ,あひおもふらしも

[左注](右二首)

[元][天][類] / 波  彼 [類] / 舛 [元][天][類](塙) 升

広島,山口,倉橋島,桂浜,望郷,土地讃美,恋情,羈旅

3244

[題詞]反歌

[原文]阿胡乃海之 荒礒之上之 少浪 吾戀者 息時毛無

[訓読]阿胡の海の荒礒の上のさざれ波我が恋ふらくはやむ時もなし

[仮名],あごのうみの,ありそのうへの,さざれなみ,あがこふらくは,やむときもなし

[左注]右二首

呉市,広島,望郷,羈旅,恋情

3245

[題詞]

[原文]天橋 長雲鴨 高山 高雲鴨 月夜見乃 持有越水 伊取来而 公奉而 越得之物

[訓読]天橋も 長くもがも 高山も 高くもがも 月夜見の 持てるをち水 い取り来て 君に奉りて をち得てしかも

[仮名],あまはしも,ながくもがも,たかやまも,たかくもがも,つくよみの,もてるをちみづ,いとりきて,きみにまつりて,をちえてしかも

[左注](右二首)

[西(訂正)][元][天][紀] / 父  文 [西(訂正)][元][天][紀] / 早  旱 [元]

3246

[題詞]反歌

[原文]天有哉 月日如 吾思有 君之日異 老落惜文

[訓読]天なるや月日のごとく我が思へる君が日に異に老ゆらく惜しも

[仮名],あめなるや,つきひのごとく,あがおもへる,きみがひにけに,おゆらくをしも

[左注]右二首

](塙)(楓) 公

3247

[題詞]

[原文]沼名河之 底奈流玉 求而 得之玉可毛 拾而 得之玉可毛 安多良思吉 君之 老落惜毛

[訓読]沼名川の 底なる玉 求めて 得し玉かも 拾ひて 得し玉かも あたらしき 君が 老ゆらく惜しも

[仮名],ぬながはの,そこなるたま,もとめて,えしたまかも,ひりひて,えしたまかも,あたらしき,きみが,おゆらくをしも

[左注]右一首

姫川,序詞,寿歌,老

相聞3248

[題詞]相聞

[原文]式嶋之 山跡之土丹 人多 満而雖有 藤浪乃 思纒 若草乃 思就西 君二 戀八将明 長此夜乎

[訓読]磯城島の 大和の国に 人さはに 満ちてあれども 藤波の 思ひまつはり 若草の 思ひつきにし 君が目に 恋ひや明かさむ 長きこの夜を

[仮名],しきしまの,やまとのくにに,ひとさはに,みちてあれども,ふぢなみの,おもひまつはり,わかくさの,おもひつきにし,きみがめに,こひやあかさむ,ながきこのよを

[左注](右二首)

[元][類]

日本,嘆息,恋情

3249

[題詞]反歌

[原文]式嶋乃 山跡乃土丹 人二 有年念者 難可将嗟

[訓読]磯城島の大和の国に人ふたりありとし思はば何か嘆かむ

[仮名],しきしまの,やまとのくにに,ひとふたり,ありとしおもはば,なにかなげかむ

[左注]右二首

女歌,嘆息,恋情

3250

[題詞]

[原文]蜻嶋 倭之國者 神柄跡 言擧不為國 雖然 吾者事上為 天地之 神甚 吾念 心不知哉 徃影乃 月經徃者 玉限 日累 念戸鴨 胸不安 戀烈鴨 心痛 末逐尓 君丹不會者 吾命乃 生極 戀乍 吾者将度 犬馬鏡 正目君乎 相見天者社 吾戀八鬼目

[訓読]蜻蛉島 大和の国は 神からと 言挙げせぬ国 しかれども 我れは言挙げす 天地の 神もはなはだ 我が思ふ 心知らずや 行く影の 月も経ゆけば 玉かぎる 日も重なりて 思へかも 胸の苦しき 恋ふれかも 心の痛き 末つひに 君に逢はずは 我が命の 生けらむ極み 恋ひつつも 我れは渡らむ まそ鏡 直目に君を 相見てばこそ 我が恋やまめ

[仮名],あきづしま,やまとのくには,かむからと,ことあげせぬくに,しかれども,われはことあげす,あめつちの,かみもはなはだ,わがおもふ,こころしらずや,ゆくかげの,つきもへゆけば,たまかぎる,ひもかさなりて,おもへかも,むねのくるしき,こふれかも,こころのいたき,すゑつひに,きみにあはずは,わがいのちの,いけらむきはみ,こひつつも,われはわたらむ,まそかがみ,ただめにきみを,あひみてばこそ,あがこひやまめ

[左注](右首)

[元][天][紀] / 父  文 [西(訂正)][元][天][紀] / 父  文 [西(訂正)][元][天][紀] / 父  文 [元][天][紀]

女歌,恋情,送別

3251

[題詞]反歌

[原文]大舟能 思憑 君故尓 盡心者 惜雲梨

[訓読]大船の思ひ頼める君ゆゑに尽す心は惜しけくもなし

[仮名],おほぶねの,おもひたのめる,きみゆゑに,つくすこころは,をしけくもなし

[左注](右首)

枕詞,送別

3252

[題詞]

[原文]久堅之 王都乎置而 草枕 羈徃君乎 何時可将待

[訓読]ひさかたの都を置きて草枕旅行く君をいつとか待たむ

[仮名],ひさかたの,みやこをおきて,くさまくら,たびゆくきみを,いつとかまたむ

[左注](右首)

女歌,恋情

3253

[題詞]柿本朝臣人麻呂歌集歌曰

[原文]葦原 水穂國者 神在随 事擧不為國 雖然 辞擧叙吾為 言幸 真福座跡 恙無 福座者 荒礒浪 有毛見登 百重波 千重浪尓敷 言上為吾

[訓読]葦原の 瑞穂の国は 神ながら 言挙げせぬ国 しかれども 言挙げぞ我がする 言幸く ま幸くませと 障みなく 幸くいまさば 荒礒波 ありても見むと 百重波 千重波しきに 言挙げす我れは

[仮名],あしはらの,みづほのくには,かむながら,ことあげせぬくに,しかれども,ことあげぞわがする,ことさきく,まさきくませと,つつみなく,さきくいまさば,ありそなみ,ありてもみむと,ももへなみ,ちへなみしきに,ことあげすわれは [ことあげすわれは]

[左注](右首)

; [言上為吾] [元][天][類](塙)(楓)

人麻呂歌集,非略体,枕詞,送別,遣唐使

3254

[題詞]反歌

[原文]志貴嶋 倭國者 事霊之 所佐國叙 真福在与具

[訓読]磯城島の大和の国は言霊の助くる国ぞま幸くありこそ

[仮名],しきしまの,やまとのくには,ことだまの,たすくるくにぞ,まさきくありこそ

[左注]右首

三  五 [西(訂正)][元][天]

С阻椰曜穗げ僚,非略体,送別,遣唐使

3255

[題詞]

[原文]従古 言續来口 戀為者 不安物登 玉緒之 継而者雖云 處女等之 心乎胡粉 其将知 因之無者 夏麻引 命貯 借薦之 心文小竹荷 人不知 本名曽戀流 氣之緒丹四天

[訓読]古ゆ 言ひ継ぎけらく 恋すれば 苦しきものと 玉の緒の 継ぎては言へど 娘子らが 心を知らに そを知らむ よしのなければ 夏麻引く 命かたまけ 刈り薦の 心もしのに 人知れず もとなぞ恋ふる 息の緒にして

[仮名],いにしへゆ,いひつぎけらく,こひすれば,くるしきものと,たまのをの,つぎてはいへど,をとめらが,こころをしらに,そをしらむ,よしのなければ,なつそびく,いのちかたまけ,かりこもの,こころもしのに,ひとしれず,もとなぞこふる,いきのをにして

[左注](右三首)

[元][天]

3256

[題詞]反歌

[原文]數々丹 不思人z 雖有 ま吾者 忘枝沼鴨

[訓読]しくしくに思はず人はあるらめどしましくも我は忘らえぬかも

[仮名],しくしくに,おもはずひとは,あるらめど,しましくもわは,わすらえぬかも

[左注](右三首)

[元][天][紀]

3257

[題詞]

[原文]直不来 自此巨勢道柄 石椅跡 名積序吾来 戀天窮見

[訓読]直に来ずこゆ巨勢道から岩せ踏みなづみぞ我が来し恋ひてすべなみ

[仮名],ただにこず,こゆこせぢから,いはせふみ,なづみぞわがこし,こひてすべなみ

[左注]或本以此歌一首為之紀伊國之 濱尓縁云 鰒珠 拾尓登謂而 徃之君 何時到来歌之反歌也 具見下也 依古本亦載茲 / 右三首

; 但 [元][天][古] / 累 [西(上書訂正)][元][天][古]

恋情,異伝

3257S

[題詞]或本以此歌一首為之

[原文]紀伊國之 濱尓縁云 鰒珠 拾尓登謂而 徃之君 何時到来

[訓読]紀の国の 浜に寄るとふ あわび玉 拾ひにと言ひて 行きし君 いつ来まさむ

[仮名],きのくにの,はまによるとふ,あはびたま,ひりひにといひて,ゆきしきみ,いつきまさむ

[左注]歌之反歌也 具見下也 依古本亦載茲 / 右三首

[西(朱書訂正)][元][天]

,異伝

3258

[題詞]

[原文]荒玉之 年者来去而 玉梓之 使之不来者 霞立 長春日乎 天地丹 思足椅 帶乳根笶 母之養蚕之 眉隠 氣衝渡 吾戀 心中 人丹言 物西不有者 松根 松事遠 天傳 日之闇者 白木綿之 吾衣袖裳 通手沾沼

[訓読]あらたまの 年は来ゆきて 玉梓の 使の来ねば 霞立つ 長き春日を 天地に 思ひ足らはし たらちねの 母が飼ふ蚕の 繭隠り 息づきわたり 我が恋ふる 心のうちを 人に言ふ ものにしあらねば 松が根の 待つこと遠み 天伝ふ 日の暮れぬれば 白栲の 我が衣手も 通りて濡れぬ

[仮名],あらたまの,としはきゆきて,たまづさの,つかひのこねば,かすみたつ,ながきはるひを,あめつちに,おもひたらはし,たらちねの,ははがかふこの,まよごもり,いきづきわたり,あがこふる,こころのうちを,ひとにいふ,ものにしあらねば,まつがねの,まつこととほみ,あまつたふ,ひのくれぬれば,しろたへの,わがころもでも,とほりてぬれぬ

[左注](右二首)

恋情,片思い

3259

[題詞]反歌

[原文]如是耳師 相不思有者 天雲之 外衣君者 可有々来

[訓読]かくのみし相思はずあらば天雲の外にぞ君はあるべくありける

[仮名],かくのみし,あひおもはずあらば,あまくもの,よそにぞきみは,あるべくありける

[左注]右二首

女歌

3260

[題詞]

[原文]小田之 年魚道之水乎 問無曽 人者は云 時自久曽 人者飲云 は人之 無間之如 飲人之 不時之如 吾妹子尓 吾戀良久波 已時毛無

[訓読]小治田の 年魚道の水を 間なくぞ 人は汲むといふ 時じくぞ 人は飲むといふ 汲む人の 間なきがごと 飲む人の 時じきがごと 我妹子に 我が恋ふらくは やむ時もなし

[仮名],をはりだの,あゆぢのみづを,まなくぞ,ひとはくむといふ,ときじくぞ,ひとはのむといふ,くむひとの,まなきがごと,のむひとの,ときじきがごと,わぎもこに,あがこふらくは,やむときもなし

[左注](右三首)

[元][天][類]

地名,明日香,恋情

3261

[題詞]反歌

[原文]思遣 為便乃田付毛 今者無 於君不相而 之歴去者

[訓読]思ひ遣るすべのたづきも今はなし君に逢はずて年の経ぬれば

[仮名],おもひやる,すべのたづきも,いまはなし,きみにあはずて,としのへぬれば

[左注]今案 此反歌謂之於君不相者於理不合也 宣言於妹不相也 / (右三首)

[西(訂正)][元][天][紀]

3261S

[題詞](反歌)今案 此反歌謂之於君不相者於理不合也

[原文]妹不相

[訓読]妹に会わず

[仮名],いもにあはず

[左注]宣言於也 /(右三首)

編纂者

3262

[題詞]或本反歌曰

[原文]ゐ垣 久時従 戀為者 吾帶緩 朝夕毎

[訓読]瑞垣の久しき時ゆ恋すれば我が帯緩ふ朝宵ごとに

[仮名],みづかきの,ひさしきときゆ,こひすれば,わがおびゆるふ,あさよひごとに

[左注]右三首

恋情,遊仙窟,中国文学

3263

[題詞]

[原文]己母理久乃 泊瀬之河之 上瀬尓 伊杭乎打 下湍尓 真杭乎挌 伊杭尓波 鏡乎懸 真杭尓波 真玉乎懸 真珠奈須 我念妹毛 鏡成 我念妹毛 有跡謂者社 國尓毛 家尓毛由可米 誰故可将行

[訓読]こもりくの 泊瀬の川の 上つ瀬に 斎杭を打ち 下つ瀬に 真杭を打ち 斎杭には 鏡を懸け 真杭には 真玉を懸け 真玉なす 我が思ふ妹も 鏡なす 我が思ふ妹も ありといはばこそ 国にも 家にも行かめ 誰がゆゑか行かむ

[仮名],こもりくの,はつせのかはの,かみつせに,いくひをうち,しもつせに,まくひをうち,いくひには,かがみをかけ,まくひには,またまをかけ,またまなす,あがおもふいもも,かがみなす,あがおもふいもも,ありといはばこそ,くににも,いへにもゆかめ,たがゆゑかゆかむ

[左注]檢古事記曰 件歌者木梨之軽太子自死之時所作者也 / (右三首)

奈良,歌語り,悲別,恋情,木梨軽太子,伝承

3264

[題詞]反歌

[原文]年渡 麻弖尓毛人者 有云乎 何時之間曽母 吾戀尓来

[訓読]年渡るまでにも人はありといふをいつの間にぞも我が恋ひにける

[仮名],としわたる,までにもひとは,ありといふを,いつのまにぞも,あがこひにける

[左注](右三首)

3265

[題詞]或書反歌曰

[原文]世間乎 倦迹思而 家出為 吾哉難二加 還而将成

[訓読]世の中を憂しと思ひて家出せし我れや何にか還りてならむ

[仮名],よのなかを,うしとおもひて,いへでせし,われやなににか,かへりてならむ

[左注]右三首

3266

[題詞]

[原文]春去者 花咲乎呼里 秋付者 丹之穂尓黄色 味酒乎 神名火山之 帶丹為留 明日香之河乃 速瀬尓 生玉藻之 打靡 情者因而 朝露之 消者可消 戀久毛 知久毛相 隠都麻鴨

[訓読]春されば 花咲ををり 秋づけば 丹のほにもみつ 味酒を 神奈備山の 帯にせる 明日香の川の 早き瀬に 生ふる玉藻の うち靡き 心は寄りて 朝露の 消なば消ぬべく 恋ひしくも しるくも逢へる 隠り妻かも

[仮名],はるされば,はなさきををり,あきづけば,にのほにもみつ,うまさけを,かむなびやまの,おびにせる,あすかのかはの,はやきせに,おふるたまもの,うちなびき,こころはよりて,あさつゆの,けなばけぬべく,こひしくも,しるくもあへる,こもりづまかも

[左注](右二首)

明日香,奈良,枕詞,序詞

3267

[題詞]反歌

[原文]明日香河 瀬湍之珠藻之 打靡 情者妹尓 来鴨

[訓読]明日香川瀬々の玉藻のうち靡き心は妹に寄りにけるかも

[仮名],あすかがは,せぜのたまもの,うちなびき,こころはいもに,よりにけるかも

[左注]右二首

[天][類][紀]

,奈良,恋情,序詞

3268

[題詞]

[原文]三諸之 神奈備山従 登能陰 雨者落来奴 雨霧相 風左倍吹奴 大口乃 真神之原従 思管 還尓之人 家尓到伎也

[訓読]みもろの 神奈備山ゆ との曇り 雨は降り来ぬ 天霧らひ 風さへ吹きぬ 大口の 真神の原ゆ 思ひつつ 帰りにし人 家に至りきや

[仮名],みもろの,かむなびやまゆ,とのぐもり,あめはふりきぬ,あまぎらひ,かぜさへふきぬ,おほくちの,まかみのはらゆ,おもひつつ,かへりにしひと,いへにいたりきや

[左注](右二首)

明日香,奈良,女歌

3269

[題詞]反歌

[原文]還尓之 人乎念等 野干玉之 彼夜者吾毛 宿毛寐金寸

[訓読]帰りにし人を思ふとぬばたまのその夜は我れも寐も寝かねてき

[仮名],かへりにし,ひとをおもふと,ぬばたまの,そのよはわれも,いもねかねてき

[左注]右二首

硺機][元][天][紀]

女歌

3270

[題詞]

[原文]刺将焼 小屋之四忌屋尓 掻将棄 破薦乎敷而 所将折 鬼之四忌手乎 指易而 将宿君故 赤根刺 晝者終尓 野干玉之 夜者須柄尓 此床乃 比師跡鳴左右 嘆鶴鴨

[訓読]さし焼かむ 小屋の醜屋に かき棄てむ 破れ薦を敷きて 打ち折らむ 醜の醜手を さし交へて 寝らむ君ゆゑ あかねさす 昼はしみらに ぬばたまの 夜はすがらに この床の ひしと鳴るまで 嘆きつるかも

[仮名],さしやかむ,こやのしこやに,かきうてむ,やれごもをしきて,うちをらむ,しこのしこてを,さしかへて,ぬらむきみゆゑ,あかねさす,ひるはしみらに,ぬばたまの,よるはすがらに,このとこの,ひしとなるまで,なげきつるかも

[左注](右二首)

[元]

恋情,戯笑,宴席

3271

[題詞]反歌

[原文]我情 焼毛吾有 愛八師 君尓戀毛 我之心柄

[訓読]我が心焼くも我れなりはしきやし君に恋ふるも我が心から

[仮名],わがこころ,やくもわれなり,はしきやし,きみにこふるも,わがこころから

[左注]右二首

3272

[題詞]

[原文]打延而 思之小野者 不遠 其里人之 標結等 聞手師日従 立良久乃 田付毛不知 居久乃 於久鴨不知 親 己家尚乎 草枕 客宿之如久 思空 不安物乎 嗟空 過之不得物乎 天雲之 行莫々 蘆垣乃 思乱而 乱麻乃 麻笥乎無登 吾戀流 千重乃一重母 人不令知 本名也戀牟 氣之緒尓為而

[訓読]うちはへて 思ひし小野は 遠からぬ その里人の 標結ふと 聞きてし日より 立てらくの たづきも知らず 居らくの 奥処も知らず にきびにし 我が家すらを 草枕 旅寝のごとく 思ふそら 苦しきものを 嘆くそら 過ぐしえぬものを 天雲の ゆくらゆくらに 葦垣の 思ひ乱れて 乱れ麻の をけをなみと 我が恋ふる 千重の一重も 人知れず もとなや恋ひむ 息の緒にして

[仮名],うちはへて,おもひしをのは,とほからぬ,そのさとびとの,しめゆふと,ききてしひより,たてらくの,たづきもしらず,をらくの,おくかもしらず,にきびにし,わがいへすらを,くさまくら,たびねのごとく,おもふそら,くるしきものを,なげくそら,すぐしえぬものを,あまくもの,ゆくらゆくらに,あしかきの,おもひみだれて,みだれをの,をけをなみと,あがこふる,ちへのひとへも,ひとしれず,もとなやこひむ,いきのをにして

[左注](右二首)

[類] /   之 [元][天] / 麻笥 [元][天][類] 司

枕詞

3273

[題詞]反歌

[原文]二無 戀乎思為者 常帶乎 三重可結 我身者成

[訓読]二つなき恋をしすれば常の帯を三重結ぶべく我が身はなりぬ

[仮名],ふたつなき,こひをしすれば,つねのおびを,みへむすぶべく,あがみはなりぬ

[左注]右二首

遊仙窟

3274

[題詞]

[原文]為須部乃 田付S不知 石根乃 興凝敷道乎 石床笶 根延門S 朝庭 出居而嘆 夕庭 入居而思 白桍乃 吾衣袖S 折反 獨之寐者 野干玉 黒髪布而 人寐 味眠不睡而 大舟乃 徃良行羅二 思乍 吾睡夜等呼 将敢鴨

[訓読]為むすべの たづきを知らに 岩が根の こごしき道を 岩床の 根延へる門を 朝には 出で居て嘆き 夕には 入り居て偲ひ 白栲の 我が衣手を 折り返し ひとりし寝れば ぬばたまの 黒髪敷きて 人の寝る 味寐は寝ずて 大船の ゆくらゆくらに 思ひつつ 我が寝る夜らを 数みもあへむかも

[仮名],せむすべの,たづきをしらに,いはがねの,こごしきみちを,いはとこの,ねばへるかどを,あしたには,いでゐてなげき,ゆふへには,いりゐてしのひ,しろたへの,わがころもでを,をりかへし,ひとりしぬれば,ぬばたまの,くろかみしきて,ひとのぬる,うまいはねずて,おほぶねの,ゆくらゆくらに,おもひつつ,わがぬるよらを,よみもあへむかも

[左注](右二首)

文 [元][類]

孤独,枕詞

3275

[題詞]反歌

[原文]一眠 夜t跡 雖思 戀茂二 情利文梨

[訓読]ひとり寝る夜を数へむと思へども恋の繁きに心どもなし

[仮名],ひとりぬる,よをかぞへむと,おもへども,こひのしげきに,こころどもなし

[左注]右二首

孤独

3276

[題詞]

[原文]百不足 山田道乎 浪雲乃 愛妻跡 不語 別之来者 速川之 徃不知 衣袂笶 反裳不知 馬自物 立而爪衝 為須部乃 田付乎白粉 物部乃 八十乃心S 天地二 念足橋 玉相者 君来益八跡 吾嗟 八尺之嗟 玉乃 道来人乃 立留 何常問者 答遣 田付乎不知 散釣相 君名日者 色出 人知 足日木能 山従出 月待跡 人者云而 君待吾乎

[訓読]百足らず 山田の道を 波雲の 愛し妻と 語らはず 別れし来れば 早川の 行きも知らず 衣手の 帰りも知らず 馬じもの 立ちてつまづき 為むすべの たづきを知らに もののふの 八十の心を 天地に 思ひ足らはし 魂合はば 君来ますやと 我が嘆く 八尺の嘆き 玉桙の 道来る人の 立ち留まり いかにと問はば 答へ遣る たづきを知らに さ丹つらふ 君が名言はば 色に出でて 人知りぬべみ あしひきの 山より出づる 月待つと 人には言ひて 君待つ我れを

[仮名],ももたらず,やまたのみちを,なみくもの,うつくしづまと,かたらはず,わかれしくれば,はやかはの,ゆきもしらず,ころもでの,かへりもしらず,うまじもの,たちてつまづき,せむすべの,たづきをしらに,もののふの,やそのこころを,あめつちに,おもひたらはし,たまあはば,きみきますやと,わがなげく,やさかのなげき,たまほこの,みちくるひとの,たちとまり,いかにととはば,こたへやる,たづきをしらに,さにつらふ,きみがないはば,いろにいでて,ひとしりぬべみ,あしひきの,やまよりいづる,つきまつと,ひとにはいひて,きみまつわれを

[左注](右二首)

[西(訂正)][元][天][類] / 杵  桙 [天][類][温] / 不  可 [類][紀][温]

地名,桜井,奈良,女歌,歌劇

3277

[題詞]反歌

[原文]眠不睡 吾思君者 何處邊 今誰与可 雖待不来

[訓読]寐も寝ずに我が思ふ君はいづくへに今夜誰れとか待てど来まさぬ

[仮名],いもねずに,あがおもふきみは,いづくへに,こよひたれとか,まてどきまさぬ

[左注]右二首

[万葉考]

3278

[題詞]

[原文]赤駒 厩立 黒駒 厩立而 彼乎飼 吾徃如 思妻 心乗而 高山 峯之手折丹 射目立 十六待如 床敷而 吾待君 犬莫吠行

[訓読]赤駒を 馬屋に立て 黒駒を 馬屋に立てて そを飼ひ 我が行くがごと 思ひ妻 心に乗りて 高山の 嶺のたをりに 射目立てて 鹿猪待つがごと 床敷きて 我が待つ君を 犬な吠えそね

[仮名],あかごまを,うまやにたて,くろこまを,うまやにたてて,そをかひ,わがゆくがごと,おもひづま,こころにのりて,たかやまの,みねのたをりに,いめたてて,ししまつがごと,とこしきて,わがまつきみを,いぬなほえそね

[左注](右二首)

](塙)(楓) 公 / 羊  年 [元][天][類]

歌劇,女歌

3279

[題詞]反歌

[原文]蘆垣之 末掻別而 君越跡 人丹勿告 事者棚知

[訓読]葦垣の末かき分けて君越ゆと人にな告げそ事はたな知れ

[仮名],あしかきの,すゑかきわけて,きみこゆと,ひとになつげそ,ことはたなしれ

[左注]右二首

人目

3280

[題詞]

[原文]背兒者 雖待来不益 天原 振左氣見者 黒玉之 夜毛深去来 左夜深而 荒風乃吹者 立 吾袖尓 零雪者 凍渡奴 今更 公来座哉 左奈葛 後毛相得 名草武類 心乎持而 袖持 床打拂 卯管庭 君尓波不相 夢谷 相跡所見社 天之足夜

[訓読]我が背子は 待てど来まさず 天の原 振り放け見れば ぬばたまの 夜も更けにけり さ夜更けて あらしの吹けば 立ち待てる 我が衣手に 降る雪は 凍りわたりぬ 今さらに 君来まさめや さな葛 後も逢はむと 慰むる 心を持ちて ま袖もち 床うち掃ひ うつつには 君には逢はず 夢にだに 逢ふと見えこそ 天の足り夜を

[仮名],わがせこは,まてどきまさず,あまのはら,ふりさけみれば,ぬばたまの,よもふけにけり,さよふけて,あらしのふけば,たちまてる,わがころもでに,ふるゆきは,こほりわたりぬ,いまさらに,きみきまさめや,さなかづら,のちもあはむと,なぐさむる,こころをもちて,まそでもち,とこうちはらひ,うつつには,きみにはあはず,いめにだに,あふとみえこそ,あめのたりよを

[左注](右四首)

[元][天][紀] / 留待  待留 [新校] / 三  二 (塙) / 于  乎 [元][天][類]

恋情

3281

[題詞]或本歌曰

[原文]吾背子者 待跡不来 鴈音 動而寒 烏玉乃 宵文深去来 左夜深跡 阿下乃吹者 立待尓 吾衣袖尓 置霜 氷丹左叡渡 落雪母 凍渡奴 今更 君来目八 左奈葛 後将會常 大舟乃 思憑迹 現庭 君者不相 夢谷 相所見欲 天之足夜尓

[訓読]我が背子は 待てど来まさず 雁が音も 響みて寒し ぬばたまの 夜も更けにけり さ夜更くと あらしの更けば 立ち待つに 我が衣手に 置く霜も 氷にさえわたり 降る雪も 凍りわたりぬ 今さらに 君来まさめや さな葛 後も逢はむと 大船の 思ひ頼めど うつつには 君には逢はず 夢にだに 逢ふと見えこそ 天の足り夜に

[仮名],わがせこは,まてどきまさず,かりがねも,とよみてさむし,ぬばたまの,よもふけにけり,さよふくと,あらしのふけば,たちまつに,わがころもでに,おくしもも,ひにさえわたり,ふるゆきも,こほりわたりぬ,いまさらに,きみきまさめや,さなかづら,のちもあはむと,おほぶねの,おもひたのめど,うつつには,きみにはあはず,いめにだに,あふとみえこそ,あめのたりよに

[左注](右四首)

[天][類][紀] / 父  文 [西(訂正)][天][紀][温] / 父  文 [西(訂正)][元][天][類]

恋情,女歌

3282

[題詞]反歌

[原文]衣袖丹 山下吹而 寒夜乎 君不来者 獨鴨寐

[訓読]衣手にあらしの吹きて寒き夜を君来まさずはひとりかも寝む

[仮名],ころもでに,あらしのふきて,さむきよを,きみきまさずは,ひとりかもねむ

[左注](右四首)

孤独

3283

[題詞]

[原文]今更 戀友君 相目八毛 眠夜乎不落 夢所見欲

[訓読]今さらに恋ふとも君に逢はめやも寝る夜をおちず夢に見えこそ

[仮名],いまさらに,こふともきみに,あはめやも,ぬるよをおちず,いめにみえこそ

[左注]右四首

[元][天]

3284

[題詞]

[原文]菅根之 根毛一伏三向凝呂尓 吾念有 妹尓緑而者 言之禁毛 無在乞常 齊戸乎 石相穿居 竹珠乎 無間貫垂 天地之 神祇乎曽吾祈 甚毛為便無見

[訓読]菅の根の ねもころごろに 我が思へる 妹によりては 言の忌みも なくありこそと 斎瓮を 斎ひ掘り据ゑ 竹玉を 間なく貫き垂れ 天地の 神をぞ我が祷む いたもすべなみ

[仮名],すがのねの,ねもころごろに,あがおもへる,いもによりては,ことのいみも,なくありこそと,いはひへを,いはひほりすゑ,たかたまを,まなくぬきたれ,あめつちの,かみをぞわがのむ,いたもすべなみ,,,,,,いもによりては,,,きみにより,きみがまにまに

[左注]今案 不可言之因妹者 應謂之縁君也 何則反歌云之随意焉 / (右五首)

硺機][元][天][類]

うわさ,恋情,掛け合い歌,神祭り

3285

[題詞]反歌

[原文]足千根乃 母尓毛不謂 L有之 心者縦 之随意

[訓読]たらちねの母にも言はずつつめりし心はよしゑ君がまにまに

[仮名],たらちねの,ははにもいはず,つつめりし,こころはよしゑ,きみがまにまに

[左注](右五首)

[元][天][紀]

掛け合い歌,恋情



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