【全文無料公開中】てきし…中国の横笛「笛子」のハナシ|二胡・中国音楽の小学校「創樂社」安西創(あんざいはじめ) 您所在的位置:网站首页 中国随想曲笛子独奏视频 【全文無料公開中】てきし…中国の横笛「笛子」のハナシ|二胡・中国音楽の小学校「創樂社」安西創(あんざいはじめ)

【全文無料公開中】てきし…中国の横笛「笛子」のハナシ|二胡・中国音楽の小学校「創樂社」安西創(あんざいはじめ)

2024-07-03 08:14| 来源: 网络整理| 查看: 265

はじめに

ご存知、中国は長い歴史がある国で、その長さと相まって国土の広さ故に多層的な文化の魅力に溢れています。その中にあって、紀元前からその存在が確認されている楽器の一つにして、長短様々あるものの、全国各地でほぼ同じ形のまま数多くの音楽に加わり、その音色が愛されているのが竹製の横笛「笛子(てきし・dizi)です。新中国の成立後、伝統曲を整理した独奏曲や新たな作品たちの数々が世に送られ、また今も次々と現代曲が生み出されているのは、その人気の顕れの証だと思います。今日はその笛子にスポットを当ててお話ししたいと思います。

江南絲竹合奏風景。曲笛を吹くワタクシ

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二胡教室「創樂社」 「私の一曲」を楽しむための中国音楽の小学校 安西創(あんざいはじめ)が主宰する「創樂社(そうがくしゃ)は「中国音楽の小学校」をコンセプトに、二胡や高胡を始め様々な民族 r.goope.jp

現在「笛(てき・di)」と付けば横笛、「蕭(しょう・xiao)」とあれば縦笛を指しますが、古代では呼び名に混同が見られました。なので地方音楽の中には今でも笛子を「横蕭(おうしょう・hengxiao)」と呼ぶ場合もあります(福建や広東など)。ジャッキー・チェンの名作アクション映画「酔拳」の中で酔八仙の技を紹介する時に「韓湘子,吹蕭!(仙人かん・しょうし、蕭を吹く!)」と言っているのに横笛を構えたポーズをしていて違和感を覚えていましたが、縦横の区別が実は曖昧だった時代の名残が今もある訳です(とりわけ方言には古い漢語の特徴や語彙がそのまま残っていたりするのです)。大人になって謎が解けた時はモヤモヤが晴れてスッキリしました。因みに、琉球で使う横笛を「ファンソー」と呼ぶのはこの「横蕭」が由来ですね。

「笛蕭(てきしょう・dixiao)」とまとめて呼ぶ事も多く、その表現の通り笛子の奏者が「洞簫(どうしょう・dongxiao。竹製の縦笛。構造も音色も日本の尺八を思わせる穏やかな音色の楽器)」も持ち替えて担当する事が多いです。個人的に洞簫が大好きなので、その話しはまたいずれ。

G管洞簫。縦に構えて左端の空いている穴から息を吹き込んで演奏します「北高南低」?

さて、中国では同じ構造の笛子であっても、揚子江を挟んだ北方と南方の2系統で大きくスタイルが異なります。それを使う笛の種類(音域による分類)で呼び分けます。主に北方で使われる短く高い音域の笛を「梆笛(ほうてき・bangdi。詳細後述)」と呼び、それよりは低めのキーの、南方で多く使われて来た笛子を「曲笛(きょくてき・qudi。詳細後述)」と呼びます。「南船北馬(南方は船を使った輸送手段が多く、北は馬を使った陸上での移動が多いという地域による違いの例え。ここでは割愛しますが、中国武術の南北の違いの時にも良く引き合いに出される表現です。「南北少林」や「南北酔拳」などスタイルの違いをタイトルに入れた映画もたくさんあるので観てみてください)」と言った表現に見られるように、中国では各地域によって気候風俗習慣、あらゆる事が大きく違います。加えて、中国語は同じ漢民族同士でも言葉が通じないほどの方言差があります。中国音楽は各地のお芝居と密接な関係がありますから、使われている言葉の違いも音楽に大きな影響を及ばしているのは疑いの余地がないでしょう。私の高胡・廣東音樂の師匠も私が広東語を勉強している事を喜んで「広東語が話せないと分からない事がある」とおっしゃってました。当然音楽の好みも地域差がある訳ですね。

そして、以前は地域間の交流もなく、いち地域の音楽を演奏するプレイヤーたちは他のスタイルの事は知らないし、ましてやそれを演奏する必要自体がなかった訳ですが、現代教育を受けた音楽家たちはこれらを巧みに使い分けるのが一般的になっています。

上)梆笛(F管)下)曲笛(D管)筆者蔵楽器一番左側の穴が吹口で、右隣が笛膜(後述)そして6つの穴を開けたり閉じたりして演奏します。一番右側の2つは「出音孔」で演奏には使いません。

さあ、中国の横笛「笛子」の世界を実際にちょっと聴いてみましょう!

北方の華「梆笛」

私が師事している孫瀟夢先生の演奏をどうぞ。ここでは「梆笛」で先生の出身地である山東省の戯曲に由来するご当地物を、そのスタイルの特徴の一つであるタンギングの多用や花舌(フラッター・息を出す時に舌を震わせて音を装飾する技法)を使って生き生きと演奏しています。

梆笛はその楽器性能から、高い音域で、クッキリとした、ある種の鋭い音色を出す表現が比較的得意です。お求めになる方はFやGの楽器が良く使われるし、他の楽器との合奏にも便利で、しかも手に入り易いと思います。

※楽器の購入は習っている先生や詳しい人のアドバイスでお求めになるのが一番リスクが数ないと思います(特に海外とのやり取りでトラブルになるとなかなか厄介です)

【ご注意】笛子の調性は、6孔ある内の吹き口に近い3孔を塞いだ時に鳴る音で表されています。ですから「F調」とあったら全按(全ての穴を塞いだ状態)した時の音はCです。購入する時に間違えないように注意してください。

「梆笛」と呼ばれる由来は「梆子(ほうし・bangzi。2つの木の塊を打ち合わせて音を出す拍子木のような楽器)」で拍子を取りながら調子良く物語が進む「梆子腔(ほうしこう・bangziqiang)」という地方劇の伴奏音楽に使われる事からです。「梆子腔」というのは、総称で、秦腔(陕西梆子)、晋剧(山西梆子)、豫剧(河南梆子)、河北梆子等、各地に特有の演目とスタイルがある「梆子劇」があります。中国音楽は戯曲(お芝居の音楽)と不可分の関係にありますから、興味がある人はぜひ音楽に注目してお芝居も観てみてください。中国の戯迷(伝統劇ファン)は「看戯(kanxi。芝居を観る)」とは言わず「聴戯(tingxi。芝居を聴く)」と言うくらいですから、音楽の比重はとても重いのです。

もう一例、梆子が加わったトリオで「山西二人台」の「五梆子」。この旋律は華北一帯に広く見られますが、今では特に河北省陽原県出身の馮子存氏らによって整理保存記譜された変奏曲としてとても有名で、梆笛の代表的な独奏曲として演奏される事がよくあります↓

ゆったり流れる大河のような江南の「曲笛」

これに対し南方では全く異なったスタイルの演奏が主流です。その際使われるのが「曲笛(きょくてき・qudi)」です。ユネスコ世界遺産にもなっている世界有数の古い演劇である「崑劇(こんげき・kunju)」の伴奏の主奏楽器がこの笛子で、崑「曲」(こんきょく・kunqu。崑劇の劇中曲)の伴奏に使う「笛」子だから「曲笛」と呼ぶ訳です。「崑笛(こんてき・kundi)」というのも同じ楽器を指します。

梆笛よりは低めのC、D辺りを指す事が多いです。「自分も欲しい!」と思った時に、西洋音楽にしか触れて来なかった人はついついCを買いたくなると思いますが、もし他の中国楽器との合奏の都合を考えるなら、二胡などはDAに調弦していて、Dのメジャースケールから練習し始めてGに進むのがカリキュラムの王道なので、中国音楽的に最初の曲笛はDを手に入れるのが使い道が多いと思います(廣東音樂はCやGの曲が多いなど、曲種によって調性の頻度が異なる場合もありますので、その点事前のリサーチをしてみてください。因みにC管を買っても楽器の機能・性能上、半音を駆使して12調が自由に吹けるという訳ではないので念のため)。

曲笛はタンギングをあまり用いず、音の切れ目は打音(だおん・dayin。一つ下の音の指穴を指で打って音を瞬間的に途切れさせる技法)やトリルなどで作ります。流れるような優美なスタイルがその特徴なので、大いにイメージを膨らませてそれに近付く演奏を心掛けるのが良いと思います。

曲笛の演奏例

繰り返しますが、大河の流れが途切れないように滔々とゆったりと演奏されるのが曲笛の味わい。しかしながら、アンサンブルの中から浮き出して聴こえて来るような、力強い浸透力もあるので、「江南絲竹楽(こうなんしちくがく・Jiangnansuzhuyue)」などの合奏音楽ではとても重要な役割を果たします。皆が笛の細かいニュアンスを聞き取ってテンポの変化などに付いて行きますから、いわば指揮者的な側面もある訳です。

この上海の江南絲竹の集まりの様子をご覧になると、冒頭のイントロから笛が色々と指示を出して引っ張っている事が分かり易いと思います。因みにこの方、笛の構えが左側ですが動画が反転している訳ではなく、笛子の構造が左右対称なので演奏者の利き手や好みによっては左右逆の構えが成立します。

笛子の音色のヒミツ

笛子は少しビリビリと震えるような独特な音がするのにお気づきでしょうか。これが最大の特徴の一つで聴衆からは見えないですが、吹き口と指穴の間にもう一つ穴が開けてあり、そこに「笛膜(てきまく・dimo)」という蘆(あし)や竹の内側の薄い膜を阿膠(漢方薬の一種。ロバの革を煮て作った「ニカワ」)で貼り、適度にシワを作って遊びを持たせて吹くと震えて独特の音色がするという工夫があります。一体誰が考え付いたのでしょうね?大発明だと思います。

なかなか難しい笛膜のご機嫌。好みの音色になるようにスジを寄せたり引っ張ったりして調整します接着剤に使う阿膠。ご覧の通り漢方薬としても売られています漢方薬として売られている阿膠の塊は大きいので、砕いた小片を使いますこの様に笛子用としても売られています

さて。大発明は良かったものの、笛膜の調整・調節が中々のクセモノで、趣味で楽しみに吹く分にはそれほど神経質になる必要もなく問題ありませんが、笛膜は「生き物」で、乾燥すればピンと張ってしまって潤いのあるビリビリした音がしなくなってしまうし(私が子供の頃は日本で笛膜を手に入れるのが難しくて貴重だったので、代わりにセロテープで穴を塞いで練習していた頃もありました。そうすると音こそ出ますが、全く振動のない味気ない音色になってしまいます。笛膜に遊びがないのはその状態に近い音色です。呼吸や運指の練習はできますが、なんともつまらなく感じたものでした)、けれども緩ませ過ぎるとアタックが汚くなって、高音が鳴らなくなってしまったりします。プロの演奏家さんたちは様々な環境、例えばコンサート会場などのステージ上では空調によって風の影響を受けたり、ライトの熱で張力が変わってしまったり…と、終始安定させるのは慣れと経験とテクニックが必要になるちょっと気難しいモノなのです。しかも自分の吹く息に含まれる湿度で緩んで来てしまったり、薄い膜なので場合によっては破れてしまったりと(そんな大事故は滅多にありませんけれども)、場合によっては曲の途中でも細かい調整が必要になります。プロの笛子演奏家の皆さんはこの繊細な調整を、吹く曲に合う最適な表現ができる音色になるように絶えず自分の音を耳で聴きながら微調整しているという訳です。笛子が上手いと言うことは、単に吹くのが上達する事だけではなく、実はこういった聴衆が直接目にする機会があまりない部分もしっかり身につけているからこそだと思います。それは、もちろん一朝一夕には身に付きません。

どんな楽器でも、その楽器その楽器毎に奏者たちが演奏以外にもメンテナンスなどの技術を重ねて舞台に持ち寄る訳です。改めて考えるとすごい事ですね。

まとめ

笛子がどんな物かなんとなくご存知だった方から、また初めて中国の横笛に触れてみた方、いかがでしたか?日本にも篠笛や龍笛、能管など横に吹く笛がありますから見た目も馴染み易く、親しみが持てたのではないでしょうか?とはいえ、日本の中国音楽愛好者は二胡人口が圧倒的に多いのです。確かに二胡は、音色が美しく素晴らしい楽器ですが、その反面キチッと調律して気持ちの良い音程をしかも綺麗な音色で演奏しよう…となると中々道のりが遠い楽器です。そのため途中で諦める人もたくさん見てきました。せっかく中国音楽の世界をちょっと覗いてみた方には、敢えて全然違う楽器ではありますが、手にし易い楽器の候補として笛子を試してみてはどうかとお勧めします!

例えは変わりますが、私の知り合いに「英語は相性悪くて全然ダメだったけど、スペイン語はペラペラ」という人がいます。「英語話せたらカッコ良いし、英語くらい話せなきゃな〜」という呪縛から離れて、違うものを試したらピッタリとハマった訳です。先入観を捨てて違うものに取り組む好奇心がある方にはぜひお勧めします(2回目w)この時に気を付けたいのは自分の経験から何かを比較する事。そう「学校でやったリコーダーも吹けなかったしな〜」です。全然関係ない事を思い出して比較するのは無意味ですが、実に多くの人がこういう思考で自分の行動を縛ります。あぁ、もったいない。

話しがそれました。

つまりお伝えしたかったのは「笛子も面白いゾ」です。視野を広く持ち、柔軟に中国の文化を楽しむ一助になれば幸いです。今日も楽しく美しい音楽が貴方と共にありますように!

それでは最後に、往年の名演奏家 陸春齢氏の演奏を↓

お教室

私がいつもお世話になっている孫瀟夢先生の笛子教室はこちら↓

華夏笛子教室 Huaxia DIZI School In Japan 華夏笛子教室は笛子・簫・塤・漢文を教えています。初心者から上達者まで、学生の実力に応じて様々な授業を設置しております。 www.dizi-japan.com おまけ

国立音楽大学で開かれた第一人者、王明君先生のワークショップが動画投稿サイトに一般公開されていました。大変分かり易くてためになりますので、ぜひ併せてご覧ください↓



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